愛おしき我が子
「知って」
ゆるゆると、ゆるゆると。シュザンヌは息を吐いた。
「知っておりました。旦那様。あのこが前のルークではないことを」
ここ数年、赤子のようなルークがファブレに戻ってから、シュザンヌはめっきりベッドで寝込まなくなった。今も、風の気持ちのいいテラス際のカウチで、中庭で過ごすルークを見る為、話をする為。ルークと共にいたいという思いが、シュザンヌを病から離れさせた。
「シュザンヌ?」
問いかけてくる夫にシュザンヌは淡く笑う。気付こうと思えば気づけるくらい、二人のルークには差異があった。記憶だとかそんなものではなく、彼らの性格の違いがあった。
目を逸らしさえ、しなければ。
「メアリーと一緒にあのこに世話をしていた時、音素解離が起こりました。何が起きたのかわからなくて、あのこに恐ろしいことが起きたのではと不安で、シュウ医師に調べていただきました」
シュウはシュザンヌの主治医だ。クリムゾンがまるでルークに気を配っていないことを知る彼ならば、口止めをしたであろうシュザンヌに、あえて逆らうことはあるまい。あるいは、積極的に口を噤んだのかもしれない。
「シュウ医師から、あのこがレプリカと呼ばれる命だと伺いました。誰かが意図をもって作らなければ、決して存在しない命だと。
あのこは生きているのだと、心を持つひとつの命だと、シュウ医師は申しておりました。人と変わらぬ命だと」
熱をもってシュザンヌは繰り返した。大事なひとつの命。愛しき我が子であると。
「旦那様。ルークは私の子です。わたくしたちの、子なのです」
ほろりとシュザンヌは涙を流した。慌てた様子でラムダスがハンカチを差し出す。
シュザンヌには、わかっていたのだ。クリムゾンがルークを道具のように見ていたことを。その命を思わなかったことを。命があれば十分だと考えていたことを。過去と今を重ね、ルークを見ていないこと。
「シュザンヌ」
シュザンヌの涙に濡れた翠がクリムゾンを見上げる。その眼差しは驚くほどルークと似ていた。今のルークは前までのようにクリムゾンへ何かを願うように見ることはない。ただ、目が会うとき、このうつくしい翠の眼をしているのだ。
クリムゾンが己を見ていないことを知って、決して何も求めない。儀礼的な家族にさえ、なれていない。
「シュザンヌ。あのこは、ルークは私を父と呼ぶだろうか」
ルークを無視し続けて4年が経つ。今更に気付いて、それでも尚。
「ええ、旦那様。あのこはわたくしたちの自慢の子ですもの」
シュザンヌの応えに、そうか。とクリムゾンは頷いた。
ぬくもりを求める N→
この後、クリムゾンは家人(−ガイ)が全員知っていることにショック。つか、知らんのクリムゾンとガイだけというだ団結力。いや、どんだけ信用ないんだろう。
騎士団の中にはいざとなれば反逆者となってもルークを助ける気の騎士がたくさんいます。若いの中心に。古参は情報集めていろんな誘導をね。ルーク専任の騎士と稽古相手目指して努力を惜しみません。ちなみに、騎士団は預言云々のこと知っているわけではありません。ただ、ただ扱いがおかしいのでいざとなったらと考えているだけ。
そんな騎士たちとメイドなので、ガイは近づけない。ペールは平気。後ろ手の刃はバレてますよ。という。しかも全員に(−公爵)。だからそんなガイと同じ扱いのクリムゾン。
これからは亀の子の歩みで仲良くなるけど、親バカ度は高い。
仲良くなる過程は書きません。んで。仲良くなってもオリイオ様のいじめは続きます。ルークはオリイオ様のいじめを知らないので止める人もいない。
13/01/25
14/06/19