大事の手を握る
丸いテーブルに等間隔に置かれた椅子をあえて2:2になるように寄せて、漸く4人は席に着いた。用意された紅茶は冷めてしまったけれど、誰も文句もなく喉を潤す。
それまでが大変だった。
瞼が赤くなるほどに泣いて、やっとシンク以外の二人を思い出したルークは羞恥に顔を赤らめながらも泣きそうであるアリエッタや我慢するように見えるイオンに、自分のことを忘れて慌てだした。
声をかけようにも嗚咽すら殺すように泣いていた為掠れて痛々しいほどに音にならない。ルーク本人は自身のそんな状態にまったくもって頓着しないが、アリエッタはますます泣きそうになってしまう。
アリエッタの様子もだが、片割れが我慢が過ぎていっそ不機嫌に見える顔になっているのをシンクは濡らしたハンカチをルークに用意しながら横目で窺った。
大丈夫、だと思っていた。ルークがこのキムラスカの預言の贄の為の存在だということを除いても、ルークならばと。前回のあのわけのわからない同行者共のようにルークの本質を理解しないどころか、自分たちの都合のいいように捻じ曲げ思い込むような人間でなければ。
ルークは己を飾らない。素直な人間だ。この生においては側にいる人間もよいのだろう。素直さに磨きがかかっているような気もする。
おろつくルークの目元にハンカチを当て、シンクは眼で座るように片割れに告げる。そうすればイオンも4人で無駄に立っている現状に目を向け、アリエッタを促して着席した。
シンクは素直にハンカチを当てたままのルークを見、残りの2脚を寄せる。エスコートした席も自分が無意識に選んだ側も、それが左利きのルークを補える右側であることに己のかねてからの望みがよくわかる。
若干呆れたように見てくるイオンよりも、寄せられた距離を羨ましがったアリエッタが同様にするほうが頭が痛かった。
そうこうして漸く全員が落ち着き、わかっている前提はあれど確認を、とイオンは改めてルークを見て、少しばかり目を細めた。ルークの指がシンクの渡したハンカチを愛しげに撫でる。無二の宝物に触れるようなあたたかさがそこにあった。
「ルークは本当にシンクが好きなんだ」
小さく呟いた言葉の内容まではルークに聞こえなかったようで、それでも話しかけられたのを感じたルークが伏せ気味だったその翠を向けるのに、なんでもないと笑った。
出逢いと再会に至るまでの話を、これからの展望を語ったイオンとシンクに頷いたルークが真直ぐにイオンを見る。
湖面のように澄んでいて、射抜くように強い眼差しだ。この意志が呪いのように染み渡った預言を覆したのだと、疑うことなく信じられた。
「よろしくな、イオン」
遥かなるを思って、ルークは笑った。
泣き顔天使の笑顔 N→
シンルクの為だけの話。でも出張るオリイオ様。仕方がない。
この回のメインはルークに濡れハンカチを用意してあげるシンクと椅子を寄せちゃうシンクとルークの右側に座っちゃうシンクです。ツンデレのツンがログアウトしてデレデレデレな甘さを展開中。仕方がないです。シンクは10年と少しの間ずっとルークに会いたくて守りたくてルーク不足だったので。
13/01/20
14/06/13