夢に見た再会
たまには二人きりで、なんて恥ずかしいけれど嬉しくて。変だなんて少しも思わなかった。その前のときだって、公爵に言ったけど、アレは親バカになるから大丈夫、なんてちょっと信じられないこと言われ、結果として今は前の時より交流がある。
イオンは普通だった。シンクのように皮肉屋といよりちょっと毒舌で、ちょくちょく届く機密が混じった世間話からもイオンが導師としてある為どれだけ努力しているかがよくわかる。だからルークもがんばれるのだ。勿論、教師が全然違うというのもあるけれど。
イオンは出逢ったときから変わらない。預言が決めたイオンの期限は目前なのに、イオンの態度もアリエッタの様子もシンクの調子も変わらなくて、ルークは心配のしどころがわからなくなる。
けれど、もしかしたら。諦めていないイオンと、先を読むシンクとイオンを見失わないアリエッタと3人でいるなら大丈夫なんじゃと思いはじめていた。
イオンが死ぬなんて預言ごと覆して、レプリカイオンズは生まれなくて。ちょっとだけ淋しいけれど4人で。誰も失わず哀しまず、倖せに4人で。生きて。4人で。
「イ・オ…ン」
半年ぶりに会ったイオンを見て、ルークは血の気が引いた。そこにいたのは“イオン”だった。シンクとアリエッタと。ルークの下に案内されたのは“イオン”だった。イオンではなかった。“イオン”だった。
“イオン”だった。
「久しぶりですね、ルーク」
はくはくはくはく。とルークは空気を喰んだ。にこりと笑む“イオン”はイオンと同じだ。でも“イオン”はイオンではないし、間違えるはずがない。
「そん、な。“イオン”?どうして。イオンは?シンク。イオンは!?」
ルークは失われないことを選んだのだ。失われないことを願ったのだ。再会は喪失かもしれず、それは、もう。喜びより恐怖だったのだ。
哀しみが渦巻いて、悲鳴のように叫んだ。ルークだって“イオン”に会えてうれしくないわけではない。ただそれ以上にいないかもしれないイオンが哀しくて。“イオン”を笑顔で迎えられない。
イオンのことを聞きながら、“イオン”にもいなくなってほしくなくて、ルークは力強く“イオン”の手を握る。“イオン”はルークの強さに目を瞠り、やさしく微笑んだ。前に幾度となく向けた、その笑顔を。
「悪戯が過ぎますよ、オリジナル」
笑顔を変えて、声音を変えて“イオン”が窓へと顔を向ける。そこで漸くルークも外に人がいることに気づいた。
「イオン…」
ヒラリと窓を飛び越えて、イオンが笑う。
「そんなに驚くとは思わなかった」
人の悪い顔で笑うイオンがいて、困ったように笑う“イオン”がいて、アリエッタがうれしそうに笑っていて。
シンクが口端を片方、上げて笑う。
「シンクッ」
こうして皆が笑えることなど、前は想像すらできずに。分かたれ、戦い、死しかなかったのが、嘘のように。
涙はシンクに抱きついて隠す。震える肩も、漏れた嗚咽も、すべて知らないふり。
「みんな一緒で、よかった」
目元が赤いままでも、ルークがにこりと笑い、3人もルークに抱きついて、笑った。
願いを叶える魔法使い N→
オリイオ様、イオンをあげる。の巻。
シンクからオリイオ様の流れでイオンまでは考えたけど、正直イオンは逆行の予定はなかった。でも、オリイオ様が言ったので。
オリイオ様から若干(という名のスパルタ)の教育を受けているので、この時点でイオンは黒くなりつつあります。結果的に一番真っ当なのはシンク。真面目な常識人。
13/01/25
14/06/19