やさしさの手を取り合う
そこに魂が宿る
少し前にシンクが呼びだされた裏庭に、今度は呼びだす側に回って待つ。しばらくして隠すことを知らない気配と草を踏む音が2つ分。まだ信じきれない未来云々が本当ならば、とりあえず最低でも気配と足音は消せるようにさせようと決める。
「あ…」
呆然としたよく似た他人へ、シンクは笑いかけた。
「初めまして、と言おうか。セブンス」
仮面をとった顔で対応すれば、本当に、よく似ただけだとわかる。シンクもセブンスもオリジナルも、ただ似ただけだ。そしてそれは、昼間のルークを見に行って確信した。
ルークとアッシュはまるで違った。庭師と何人かのメイドには素直、母親には少し照れくさそうで、それ以外を警戒して。必死に強がっていた。全方向に当たり散らすアッシュとは本当に違う。あの部分も劣化だと誰かが言うのならば、それはとても素晴らしい劣化だとシンクは思った。
「僕は3番目だよ。これからよろしく」
それからアニスを見やり、あくどく笑う。
「アンタの話もとりあえず信じてあげるよ。それと、ルークレプリカの支えとなり、導く。僕がアイツの心のたったひとりになる。
それでいいね」
それにアニスは強張った力を抜き、安心したように頷く。何度も肯く。
今回は、決して前のようなことはしない。ルークの傍に立ち、バカになどせず、味方でいる。誠意を籠めて、真摯に接する。
ルークを守る剣にはなれずとも、ルークを守れる盾となるとアニスは決めている。ダアトでできる初手は始めていた。
「アニス、シンク。イオン様が戸惑ってる、です」
最後、合流した声にイオンは肩を震わせた。シンクの隣に並んだアリエッタと初めて会う。オリジナルが大切にしたたったひとり。その死を隠すべき相手。
どうするのが正しいのかわからないイオンにアリエッタはぺこりと頭を下げた。
「初めまして、です。イオン様。アリエッタです」
そして、なんでもないように最初の挨拶をする。初対面の相手への当たり前の言葉。
「――知っ…て、」
力の抜けた声に、やはりアリエッタはこくりと頷いた。
「改めて訊くけど、セブンス。アンタはアンタの名前が欲しい?」
シンクの問いに、身代わりである為のイオンは目が覚めたような顔をした。
Next
シンク、イオン、アリエッタそれぞれの初めまして。
アリエッタはアニスと先に会って話を聞いていたので、用意万端で待っていました。その間にオリジナルイオンの死もある程度昇華してます。今回は奪われたとか捨てれられたとかないし、アリエッタは本来野性的な思考なので、淘汰される命に関しては理解があると思う。自然では弱ったら生きていけないもの。
シンクもルークを見た後なので、被験者が望んだ成功作に何も感じません。寧ろ大変。悲惨だし。敵愾心もなくなったので心情的に兄弟に会う程度。このとき一番大変だったのは何の心の準備もなかったイオンです。
この後、イオンは導師の仕事を傍で見ていたアリエッタと同じ刷り込みなのに常識的で組織運営力の高いシンクの教育の下、裏表をきっちり使い分ける導師になります。知らずオリジナルに似る。アリエッタに「イオン様、アリエッタのイオン様に似てきました」とか言われて、「オリジナルの性格って…!」と初めて知るイオンレプリカズ。後々ルークラブです。
シンクは素直だったりツンデレやさしくしたりするかわいいルークにめろめろるので、暇を見てはルークに通います。ヴァンの邪魔は勿論、いろいろする。
13/06/19
14/07/05
title byユグドラシル