(翔べなくたっていいよ)






君を守る翼






 驚いて瞬く無垢な眸。立場に反して無防備な姿。以前はそれを知るのが自分だけだということがアニスの優越感を煽った。誰よりも側にいた少女よりも自分が選ばれたのだと驕った。その影の涙も苦しみも欠片も想像もせず。
 だが、今アニスは知っていて、その想いを共有している。守りたいと思っているけれど、それ以上に支えてもらっていた。アニスの荒唐無稽で愚かな話を、アリエッタは信じてくれた。醜くて、残酷なアニスを受けとめてくれた。
 だから、アニスはアリエッタにイオンと初めましてをさせたかった。アリエッタのイオンではないイオンと、アリエッタはきっと仲良くなれる。イオンの“弟”に会いたいとアリエッタは言ってくれた。
 そして、やさしいアリエッタに、イオンのやさしさをあげたい。
「イオンさま。アリエッタに会いましょう。ほんとうを知らずに生きるのも、後で知って苦しむのも、辛いです。すごく辛いです。
 アリエッタを、イオン様が助けてあげてください」
 そして、イオンにもアニスは無条件のやさしさを渡したい。罪悪感を核にするアニスの優しさではなくて、自然から生まれるやさしさを。いとしさを。アニスを助け、きっとオリジナルを助けたやさしさを。
 導師としての正しさも、それを含めてイオンへのやさしさを、教えられるのも、あげられるのも、アリエッタだけだ。
「私は、イオン様の守護役ですから。だから、イオン様に必要なもの、全部、知ってください」
 イオンの守護でありながら、いつか会うルークを全力で守れるように。全部使うと覚悟を決めたのだ。





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 もし、前回旅の時のようにルークが犯罪者に飛ばされても、イオンとルークの二人とも守れるように。経験も実力も上の先輩・アリエッタが助けてくれるように。
 何より、知らないまま死ぬのは悲しすぎる。苦しすぎる。前回、結局アリエッタはイオンに救われないまま死んでしまった。大事な人の急変に何も知らないまま、勘違いしたまま。そんなのは悲しすぎる。勿論、今回は死なないけど。
 大切な人も、友人も、守ってくれる人も。たくさんいるといい。心ない愚か者に殺されてしまわないように。




13/06/15
14/06/29




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