ああ、助けてくれ!






アポトーシス






 こいつ本当に人間か?
 失礼だろうと何だろうとルークが思ったのはそれに尽きる。製作1年未満の刷り込みなしのレプリカと言ったほうがまだ信じられるというものだ。
 伏して謝罪するでもなく――それで許されはしないが――勝手なことをさも被害者であるかのように言う女にただ唖然とする。屋敷に侵入したことでわかってはいたが、これはない。本当にない。ルークは未知の生物――できれば会いたくなかった。しかも話が通じない――を見た。
「お前、わかってんのか?」
 気を抜けば、ただぽかんと開く口からなんとかその言葉をひねり出す。これで正気に返って謝罪できるなら、縁座の範囲と刑の重さを死罪自体は免れないが何とかしてやれるからだ。
「貴方、初対面の相手にその言い方は何なの!?失礼でしょう!
 だいたい貴方が邪魔しなければこんな疑似超振動で何処かに飛ばされることもなかったのよ!!」
 勝手に罵る勢いでわめいた女に、これは詰んだと呆れる。屋敷を譜歌を用いて襲撃し、ほぼ無力化したこの女だけは誰かに対して礼云々を口に出せる立場ではないのだ。なのに、それに欠片も気づいていない。そのうえ自身のほうが上の人間であるかのように驕っている。
「その初対面の人間の屋敷に譜歌を用いて襲撃をし、屋敷中の人間を巻き込んだやつが礼を語るな。言葉が穢れる。
 第一、客人待遇であれど、軍人の男を王族の俺が間に入って邪魔するはずもない。護衛の近くに行った俺にお前を謡将が投げつけたんだ。そもそも他者の邪魔を厭うなら、大勢の人間がいる場を襲撃場所に選ぶな」
 流れるように事実と常識を告げる。
「神託の楯によるキムラスカ王族への襲撃だ。縁座・連座で何人が死刑になるか、減罪はない」
「人聞きの悪いことを言わないで!私はキムラスカ王族を襲ってないわ!」
 許しなく顔をあげることも、その口の利き方もすべてが罪だと理解できない人間がよく軍服を着たものである。
 まるで理解のない女がわめくのをルークはうんざりと見た。
「人間の言葉と常識がわからないならせめて黙ってろ」
 聞いていた以上にこれはない。
 シンク、アリエッタ、フィロ、アニス、ディスト。マジ早く助けて。不機嫌さを保った表情の奥でルークは切実に助けを求めた。





                       Fin
 この後続けた場合、たぶん颯爽とアリエッタが助けにきてくれる。



13/08/01
14/07/12




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