喜劇の幕開け
枝分かれする未来
軟禁中の身でありながら図らずも屋敷の外を飛び越えて聞いた話ではマクルト領まで吹っ飛ばされたルークは、齢7歳にしてトップオブ非常識の意味を知った。
ダアトとバチカルという遠距離――そのわりにシンクは足繁く通ってくれた――でもいつでも身近に感じられるようにとディストの作ってくれた通信譜業が膨大な第七音素を感知して通信を始める。ルークは知らないがオートでこの作業に入った場合、発信機としても作用するように設定されている。
<ルーク。ルーク!大丈夫?聞こえてる?>
「うん。大丈夫」
驚くほどクリアに声を届けるピアス型の譜業にルークははっとして返事をする。大丈夫と返したが、変な呼びかけだなと首を傾げた。アニスからおおよそのことは聞いていたが、日付はわからずじまいだった。そもそもいろいろなことを聞いていたルークはヴァンを庇う気など欠片もなかったし、そのつもりであることは伝えてあった。
なのに、何故。
<ディストが一定以上の第七音素でオート通信機能つけてるからね。僕らは解離の問題もあるし。
それより、どうしたの。庇わないって言ってたろ?>
時期的に髭の妹の襲撃だろうと話を進めるシンクにルークは見えないと知りながら首を振って答えた。
「庇ってないし」
<は?>
「だから庇ってない。マジやったのに驚いたけど、すぐ護衛のとこ逃げた。なのにあの髭、ナイフ持った襲撃者、公爵子息で王族で王位継承権3位の俺の方に投げた」
護衛ちゃんと庇ってくれてたのに何で俺だけこんなコトなってんだろ。
あまりの発言に通信向こうでシンクが黙った。そうだろう。謡将という神託の楯でトップに立つはずの実力であるはずにしては対応がお粗末すぎる。というか、恥ずかしいからもうそこで首刈られていて欲しい。
それより、投げられるならそのまま取り押さえるべきだ。ヴァンを狙ってる相手で他国の王族の住む屋敷内でのこと、これくらいは当然である。神託の楯という組織の存在自体が疑われる。
<そう。そのへんはこっちで対応するよ。それと、いるの?>
「おう。よく寝てる。本当は隠れてやり過ごしたいんだけど、一面花畑でムリだと思う。ごめんな、シンク。心配かけて」
ちゃっちゃと意識を切り替え、ルークの周囲を心配するシンクに申し訳なく思いながらルークは状況を説明した。本当は森にでも逃げ込んで身を隠した方がいいのかもしれないが、着の身着のまま木刀では不用心だし、何があるかわからず怖い。アリエッタの友達なら怖くなどないのだが。
<事故なんだからルークは気にしない。アリエッタが向かってるけど気をつけて>
自ら動けないもどかしげなシンクにわかってると返し、起きられたら面倒だとととりあえず通信を切った。
Fin
そんなで本編。過去のおしゃべりと読み漁った資料の知識に共有済み。アニスは思い出してノートに書きながらあり得ない非常識っぷりに首括りたい気持ちに改めてなりました。常識的な教育を受けたフィロもアニスが経験したイオンの話で同様の気持ち。自分じゃない自分ダメすぎる!シンクとディストは呆れてます。ディストは調査はしたけど、さすがに発端とかは知らなかったので。
マジ天使な純真さをもつルークと世界の救済が目的。夫人は改心させたけど、公爵と国王はダメなので、マクルトに亡命する準備できてます。このディスト本名としてサフィールをルークに名乗ったように任務でスパイ中なので、ネイスでマクルト籍ちゃんとあります。
13/07/24
14/07/12