色褪せないもの
「ロイド」
春の陽射しを受けて氷が解けていくように、凍てついたセレストブルーがあまくゆるんでいく。
「ルルーシュさま、我が君、我が王、我が主。ルルーシュさま、ルルーシュ様」
うわ言のように呼んで呼んで、呼びながらロイドはほつりほつりと泣く。零れる涙を気にしていないのか、気づいていないのか。ただ、うれしそうに笑って。
「ルルーシュ様」
大事に抱いていたその手に口吻けを。7年前に失われた。奪われた誓いを。
「遅参、お赦しを」
騎士たる身の恥辱など、主との再会を得れば払拭できる。雪辱は己が王の許で果たせばよい。誰に嘲われようとも、唯一人が赦してくれるならば、かまわない。
「よく、戻った」
捧げられたのとは逆の手で唯一人立つ王は己の騎士を労う。罪などないと、いたわり、笑う。ついこの間まで失ったと思っていた、己の唯一の騎士に笑む。
「私の為のランスロットが私を裏切ったのは口惜しいが。ロイド、お前に優る俺の騎士はいない」
だからもういらないと、頬を撫でた。眼の淵をたどり、手をすべらせれば、ルルーシュが何よりも好きな天上のセレストブルーが近づき、やわらかな藤を孕んだ銀が絡まる。
「お前は、俺のものだ」
ロイドの至上の王が、濡れたくちびるで告げる。天啓より確かなその宣下にロイドは今一度跪き、その繊手に誓いを捧げた。
「あなたの生まれた瞬間から、僕は貴方のものです」
Fin
11/09/23