しあわせをはじめる
エデンズ・ゲート
セレストブルーが笑んだ。
「お帰りなさいませ、ルルーシュ様」
王宮内に用意された控室に入るなり、懐かしい顔があまりにも当たり前のようにルルーシュを迎えた。ほんの数日間、離れていただけのように。差し伸べられた手に手を重ね、自然にエスコートを受けて着席する。
見慣れた――もちろん、より落ち着いた青年へとなっていたけれど、その顔を半ば呆然とルルーシュは見る。
ルルーシュのその視線に当然のこと気づいているはずの男は、ルルーシュにやわらかな笑みを向けてはくれるものの、まだ何の説明もしてはくれない。ただ、いやに手慣れた動作で紅茶を淹れるのみだ。
小さめな銀器にまず注ぎ、しばし待ってようやく二人分のティーカップへゴールデンドロップまで注ぎいれる。ルルーシュと共に室内にいたオデュッセウスへカップを差し出し、ルルーシュのそれには念には念を入れて、まず自身が口に含んだ。
「呆れるねぇ」
言葉通り、呆れたような眼差しを向けるオデュッセウスをしれっと無視し、ルルーシュに笑いかける。
「我ながら美味しく淹れられてますよ、ルルーシュ様」
召し上がれ。までセットで聞こえそうな口調に誘われるまま一口飲み、酷く安心した。
「ロイド」
手を伸べる。
「はい。ルルーシュ様」
跪き、その繊手に頬を寄せ、指先に忠誠を捧げる。この眼差しを受けとめ、見つめ返し、途切れさせられた変わらぬ忠を捧げ、至宝を至上と仰ぐ。
この瞬間をどれだけ待ち望んだか、それを譬えられる言葉をロイドは知らない。その渇望、この餓えをロイドは笑みの下に隠している。
「ロイド」
ルルーシュの指先を受けるロイドの手をルルーシュはぎゅと握った。数日前、クラブハウスで受け取った短い手紙よりも、今この瞬間ここにロイドがいる。ということが、ロイドの心のすべてだと思えた。確かにずっと、この男は自分だけを待っていたのだと。
「シュナイゼル異母兄上に入れてもらったのか?」
「まぁさぁか!あの人がルルーシュ様を愛しているのは本当でしょうけど、僕はルルーシュ様のことであの人を信用する気はまだありませんよ」
そう悪友の腐れ縁を辛辣に評す。
「では異母兄上が?」
ロイドと仲良く手をつないだまま、そうオデュッセウスに問えば、先程のロイドではないが「まさか!」と返された。
「ルルーシュ。この前も言ったが、君の騎士はとても優秀だ。何をしなくてもこうして君の前に現れるほどにね」
Fin
そんなわけで戻ってきましたブリタニア。
謁見には準備がかかるので当然控室があり、そこでのお話。ついでに謁見中は書きません。ただ、最強なオデュにーにがルルーシュのことは手出し無用できっちりもらい受けました。お披露目の時はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアではなく、ルルーシュ・ウ・ブリタニアです。
オデュにーにが文中でロイドの紅茶で呆れたのはルルーシュのことを知っているのがほぼいないのを知っている癖にロイドがきっちり気にしたからです。ついでに茶器茶葉等々はオデュにーにの人間が用意したので尚のことです。そしてそれを知ってるロイドで、それを知ってるオデュにーにです。
あと、ロイドが王宮に入れたのはシュナの学友として認知されているからです。控室で出迎えたのはロイドのガチ。それと、ロイドはルルーシュのことに関してシュナを信用しませんが、第7世代のナイトフレーム研究はいい財布だと思ってる(本編準拠)。別に仲は悪くない。シュナも早くルルーシュに謝ればいいと思うくらいには。悪友。
ちなみにルルのことはトップレベルの機密扱い。宰相にだってお披露目の二日前に知らせます。なので、ルルーシュはロイドのシュナに入れてもらったのかと訊いてますが、この時点では知りません。ルルはその扱いを知りません。ロイドはルルーシュを失ってチート並にいろいろ腕を磨きました。
13/09/04
14/07/12