古い約束の、キス






我が手に祝福を






「ルルーシュ。君の騎士はとても優秀だね」
 見送りに玄関まで伴をしたルルーシュへオデュッセウスはにこりと笑いかけると折りたたまれた紙片を差し出す。
 上質ではあるものの、どこにでもある紙の小さな表面を指でなぞる。本国を離れて7年。オデュッセウスの言う騎士に思い当たる節はない。否、本当はひとりだけ心当たりがルルーシュにはあった。それは心当たりであり、そうであればとルルーシュが願う相手だ。だが、あの男とオデュッセウスに接点はないのだ。
 受け取りはしたものの、訝しむ様子で開こうとしないルルーシュを促しながら、よく化けている道化を思い出す。
「私がここに来るのを知っているのは君の皇籍復帰を認めていただくのに必要な我らが父上と私の側近だけだったんだけどね」
 2回も折れば指先に隠れるような紙には駆けても2,3言だろう。最高機密を敷いたにも拘らず、ギリギリであれ嗅ぎつけ恐れることなく動く。道化に扮した男の聞きしに優る有能さに純粋な称賛を贈る。
 素晴らしい嗅覚。素晴らしい行動力。素晴らしい胆力。網の目のように、蜘蛛が巣を巡らせるように、情報を集めたのだろう。ルルーシュに関わる、関わったことのある人間の動きをどんな小さなものでも、微かな違和感でも。
 何より。
「―――― …」
 あんなにも小さな紙で、こんなにもルルーシュを喜ばせるそのちからに頼もしさとちいさな嫉妬を。だがそれも、ルルーシュが幸せならば構わぬことだとオデュッセウスは思う。
 ルルーシュは苦労してきた。本来なら負う必要のない苦労だ。守護者の尽力あれど、それはルルーシュを蝕んできたことだろう。だからこそ、これからはルルーシュの望みが悉く叶えばと思う。
「ルルーシュはとてもいい騎士をもったね」
 幼き日の想い出。約束。叶うことを夢見た夢。それをこの小さな紙片が現実だと謳う。
 艶やかな黒髪を梳くようにやさしく撫でながらオデュッセウスが言えば、ルルーシュは幼かった頃兄たちと騎士といた陽だまりの笑顔で答えた。
「はい。自慢の騎士です」





                           Fin
 で、しあわせ夢見心地でオデュにーにを送ってリビング手前でミレイvsナナリーの会話を聞いちゃうんですよ。ミレイが怒ってたのは知ってたので、ここまで言わせるなんて今度は何を言ったんだって内心思ってる。フォローする気はゼロ。実妹だからこそアッシュフォードへの暴言は許せない。ミレイへは謝罪が一度受け入れられてるので言いません。あれが受けられたのもミレイはルルーシュへの態度へ後見家からナナリーを窘めた結果だからであって、それ以上は受け取ってもらえない。
 もうナナリーはどうでもいい。
 騎士は勿論ロイドです。アリエス前は上位の兄たちが結構来ていたので面識あり。ただ、ロイドはどうしてもシュナの学友ってのが王宮関係者にはあるので、ルルーシュに単独で会うのは平気だけど(シュナが可愛がってる弟だから)、オデュでは無理。政敵に当たるのでやんわりとお断りされる。当事者たちはロイドがルル至上だと知っているし、ロイドの優先順位がルルの為の行動だってわかってるけど。
 そんなわけでアリエス後はオデュが一度ずつルルとアッシュフォードに接触をもったのは当然知っているのでずっと張ってました。隠されていたって知るのは無理じゃないし、あの後オデュが頭角を現したのが何のためかなんてすぐわかったし。ついでにロイドは当時伯爵家の跡取りであっても個人で動かせるものはあまりなかったので。
 で、今回はお仕事で本国から離れられない自分の代わりに継承権一位をメッセンジャーにする。ルルの為なら気にしないロイドです。




13/02/08