貴方がくれた最強の呪文
存在に捧ぐ歌
愛しています、異母兄上。
それはルルーシュがこれまで幾度となく繰り返してきた魔法の言葉だ。どれほど辛くとも、絶望しても、ルルーシュを救い続けた魔法の言葉だ。
きっと。オデュッセウスは知らないだろう。気付いていなかったに違いない。「あいている」というとき、ルルーシュの名を呼ぶとき、オデュッセウスの顔が苦しげに歪んだのをきっと知らない。幼いルルーシュを安心させるよう微笑むなかにどうしようもない苦しみが、憤りが、溢れ出ていたことを、きっと彼の兄は知らない。
「愛しています、異母兄上」
「殿下。信じておられるのですね」
囁く祈りに言葉が返っても、ルルーシュは驚かない。元より、二人で作業をしていたのだ。確かに先程席をはずしはしたが、そう時間がかからないことなどわかっていた。
「勿論」
ルルーシュは紅茶を差し出すミレイに信じる者の笑みを向ける。余人を交えないときには昔のように振る舞い、ミレイが紅茶を淹れる。それは、彼女が日常から示す忠誠だ。いついかなる時もどのようになろうとも、ミレイはルルーシュに従うという意思表示だ。
「他の誰を信じることができなくなっても、異母兄上だけは信じ抜ける」
勿論ミレイ、お前のことも。
そう続ければ、忠実なる臣下は礼をもって応える。
失われていたかもしれないミレイの生涯の主が損なわれずにいてくれたのはオデュッセウスのおかげだ。容易く他人を信じないルルーシュがミレイを、ルーベンを信じてくれるのはオデュッセウスがルルーシュを守ってくれたからだ。
衛兵としてまぎれていたアッシュフォードの手の者からの報告を聞いた7年前。ルーベンとミレイがどれほどオデュッセウスに感謝したことか。
「ええ。殿下。オデュッセウス殿下がいらっしゃるまで我がアッシュフォードが必ずや殿下をお守り致します」
騎士にはなれないけれど、守護者たることを誇りとする臣下はそう力強く頷いた。オデュッセウスに迎えられたルルーシュがどう過ごすつもりなのか、ミレイは問うたことがない。
どのようであれ、仕えると決めている以上、それは些末事だ。ミレイはルルーシュがあり、そしてルルーシュが認めてくれるのならば、他は何でも構わない。
ミレイが捧げる誓いにルルーシュは笑んで応えた。
疑うことのない、王者の笑みだった。
Fin
舞台は飛んで7年後のエリア11。原作開始のちょっと前です。
このルルーシュはオデュにーにに愛されているので原作ほど皇室を憎んでいない。ただ、皇帝のことは蛇蝎のごとく嫌ってる。ただブリタニアはダメだと思ってる。差別主義の撤廃とエリア解放。これぐらいは少しずつ変えてかないと中からぐしゃっと。
C.C.とは出逢います。賭けチェスはしてます。金策と頭は使っておかないと、的な。オデュにーにのおかげで心に余裕があるからクロヴィスは殺す必要ないんですよね。あの人なりに俺たちのコト思ってるんだな、とはわかってるから。ただ、統治者には向かないし下手糞だなと思ってる。
ナナリーに対しては原作ほど依存的じゃない。過保護でもない。世情とかブリタニアもエリアのことも普通に隠してないから。ナナリーがそれを理解してるかってたら別の話だけど。それはルルーシュの所為じゃないし。目が見えなくても足が動かなくても努力はできるししてる人はいるのに、ルルーシュに頼って当たり前って態度でどうするんだ。やってもらって、教えてもらって当たり前、でどうするんだ。と思ってる。伝えてる。
11/09/27