ヨハネの再来
ヨハネの再来
大事なものはその身に巡る血潮ではなく。
必要なことは、その心をつくる魂でしかない。
戦争に負け、国の名を民族の名を奪われた。家畜の如く隷属する者と無意味で統一性のない無分別なだけのテロリストが生まれた。家族の為に、いづれの日にかの再起の為に名を変え、潜むものもあった。
いつか、再び。その言葉を嘘だとまでは咲世子も思わない。
今は雌伏の時。耐え、機会を待つのはその通りだと思う。
覚悟が違う。
けれど、そう痛感させられた。いづれの日の為と名誉となり、同志たり得る家だと桐原より紹介された家でメイドとして過ごして、引き合わされたその相手を見た瞬間、咲世子は思いの違いに愕然とした。そこには純然たる格の違いがあった。意志の違いがあった。
咲世子より十近く年下の少年は、けれどその身に咲世子よりもより確かな意思があった。名を馳せたる者よりも、より確かな覚悟があった。
やわらかく微笑みながら輝く眼。
礼儀正しく接しながら煌めく眼。
値踏みするのではない。計るのでもない。仕えてくれる者へ正しく礼節をもつ風格があった。命を預かる勁さがあった。
「篠崎咲世子と申します。何なりとお申し付けくださいませ」
「ルルーシュ・ランペルージです。よろしくお願いします。咲世子さん」
眼の奥に秘められた意志に、胸の奥に沈めてある覚悟に、咲世子は敬服し、腰を折った。
咲世子はルルーシュのことを探すこと、知ることを繰り返し、彼の本質を知った。彼の受けた不幸も、覚悟も。抱えるやさしさと憎悪を。そして、転換しきれぬ哀しみを。
ルルーシュを咲世子の主とすることに時間はいらなかった。唯一にして絶対無二。その魂と言葉にされぬ意志に咲世子の忠誠を捧げた。
出逢いから5年。
ルルーシュの心を汲み、影のように寄り添っていた咲世子はある朝、ほんの僅かな違和感を覚え。
「咲世子。紹介しよう。我が騎士、ロイド・アスプルンドだ」
その夜中。もう知っているだろうからと紹介された銀髪に神を戴く空を眼に持つ男に目を当て、咲世子は恭しく礼をとって祝辞を述べる。
「ルルーシュ様、お慶びを申し上げます。アスプルンド伯、お初にお目にかかります。ルルーシュ様の影を務めます、篠崎咲世子と申します」
咲世子もルルーシュが既知のものとして名乗った。そして、間違いなく、いつからかルルーシュは知っていた。咲世子が何であるのか。その本質を知らずとも、咲世子が何の為にいるのかを。
顔を上げた咲世子にルルーシュはひとつ頷く。
「咲世子。俺を助けてくれるか」
「私の忠誠はルルーシュ様のもの。何なりとお申し付けください」
Fin
というわけで咲世子が従うのはルルーシュです。という話。
彼女は経歴的に桐原→アッシュフォード→ルルだと思う。んで、ルーベンは保護したてのルルに咲世子をつけないと思う。落ち着いてないし。なので、中学に上がってクラブハウスに住居を移した時に咲世子をつけたイメージです。
この話しは最後の一秒のにしっくりくるのがなかったのでその手で引き金をの方から。
12/05/30