Love Is Simple






Love Is Simple






「ねぇ、レイ」
 怠惰にベッドの上に寝そべりながら、探し続けたベストのタイミング。結局そんなものはわからず、怠惰を装うのも飽きて、月は同じように隣で寝る恋人に漸く口を開いた。
「どうした、ライト?」
 やさしい青がゆっくりと開かれ、あまやかなテナーが月の名を呼ぶ。筋張った男の手がさらりとした月の薄茶の髪を撫で、レイは共有する唯一人に微笑んだ。
 慈しみの強い青の中に滲む欲を見つめながら、月は2年越しの疑問を放った。2年間の沈黙を強いた疑問を許した。
「どうして僕を許したの。違うな、僕を信じるレイを、どうして許したんだい」
 それは月の最たる疑問だった。
 最も黒に近いグレー。月は己がそう判じられていることを自覚していた。己が探偵の立場でも、月を最も疑っただろう。だからそれはかまわなかった。その想定は織り込んでおけばいいからだ。
 ただわからなかったのは、黒に近いグレーの容疑者をそうと知りながら、月を見つめながら愛したレイであり、信じると決めたレイだ。そして、愛し抜くと誓って婚約すら白紙としてしまったレイだ。
 あのときの月は明確にレイと生きると決めたわけでも、キラの終焉を描いていたわけでもなかった。月はキラだった。或いはキラが月だった。
 何故レイはキラたる月を受け、信じたのだろう。二度と会わないかもしれないのに、月以外の人を手放したのだろう。
 レイの愛してる、は確かにあの日、月の中に沁み入り、根付き、遠くない日に花を咲かせたけれど。月は意志の下にその花を枯らし、種も作らせないことができた。できることをレイだとて、知っていた、のに。
 ふふとレイは笑った。
「一言でいえば、きみが私を愛していると信じられたから」
 レイはそんなことか、というように答えた。疑問でもないというように。
「二言なら、ライトの望むキラが正義であると知ったから。未来の希望の形だと理解したから」
 きみはサユをとてもとても大事にしているから。ライトの望むキラの形は疑っていなかった。唯一の問題はきみの負けず嫌いだけど、それは挑発者がいなければ意味がないだろう。
「ライトは愛する人をないがしろにしない。守ろうとする人だ」
 だから私はきみを愛していられた。きみを信じることができた。
 簡単なことだろうと、レイは寝ころんだまま手を広げ、俯いた月を抱きしめて、彼の望みの通り顔を隠す手伝いをする。
「臆面もないこと云って」
 ぐぐもった月の声に「そうかな」とレイは笑う。
 だって、レイは今幸せだ。とても。とても幸せだ。月を待つ間も不思議と不安はなかった。月に会える日を疑うこともなかったから、探偵へも上司へも何も後ろめたいことはなかった。キラはその望みのシステムとして残り、月が変えることはレイにとって、既にわかっていたことだった。
「ライトが私を好きで」
 年下に扱われることを嫌い、対等であることを意識する月のつむじにキスをひとつ。
「私もライトを愛してる」
 そういうシンプルなことだよ、と囁いた。





                                Fin
 デスノは甘い話がないので。レイライです。さりげなく、とても好きなマイナーです。
 バスジャック後FBI殺しのないIf。きっと本気の偶然で会っちゃって、いろいろ話しているうちに気持が近づいてって、お互いに相手のことなんとなくわかってて、で。短期間で色々あったんですよ。こうなるまで。殴り合わないけど、口の達者すぎる月を相手にするので、何回か肝の冷える冷戦があったと思うんだ。
 ともあれ、レイは開き直ればオープンに愛を囁くアメリカ人です。というかなった。色々あったから。誰にでもカミングアウトだよ。夜神局長にも月の留学前に息子さんを頂きますと挨拶しましたよ。
 ちなみに、キラは大学入学前にうまいことシステムとして残して月自身は手を引きました。リュークがやってます(笑)レイは2月になる前にアメリカに戻ってるので、本当に月がどうするのか知りませんでした。信じていただけで。月が大学2年の夏前に、「そっちに留学するから」とか急に連絡が来たんですよ。
 とか、いろいろ妄想。




12/09/10
12/12/04