翌朝、日も出ないうちに起こされた十六人は師匠の「来い」の一言で連れ出された。
登り下りを繰り返すキツい行程だったが、いつも五月蝿いのが起きぬけでボンヤリしているせいか、一行は黙々と進んだ。
「ここだ」
小一時間程歩いて師匠が到着を告げた。
ある程度の広さがある平らな草原。注ぎ始めた朝の光が彼らの目を射る。
「相手をしてやる」
師匠は携えてきた一mくらいの木の棒を構えた。
「弓以外。武器から手を離すまでだ。一人ずつ、来い」
数十分とかからなかった。剣、刀、槍と、面白いようにはじかれていく。『春』の槍が十二個目の弧を描いて草原の端に落ち、それは終わった。
「動きは悪くない」
言いつつ師匠は息を乱した様子もない。
「ただ、武器に対する執着がないな」
近くに落ちた剣を手に取る。
「これこそ宝の持ち腐れだ」
十二人は黙り込んだ。
「昨日も見ていて思ったが―――」
「見ていた?どこで?」
声をあげたのは弓組の面々。
「木の上だ。全ではないが」
「手を貸したってバチはあたらなかったんじゃねぇの」
彰の言葉に師匠は嘲りを含んだ笑みを浮かべる。
「相手も私の気付いていたが御子以外に興味はないようだったな。出ていったところで無視されただろう。それに妙な気を放っていた。御子には全く効かなかったようだが、私のような只人には覿面だ。あの場で私が命を捨てて得られるものはないと判断した」
サラリと言って師匠は話を戻す。
「十日間、好きなようにやってみろ」
「相手してくれるんじゃないの?」
「私は央の君にも教えなければならぬしな。それに、私がいなくても実戦ならいくらでもできそうではないか」
「あいつらの狙いが俺達の間は師匠は安全ってことか」
「それとおそらくは央の君もな」
「こっちが全滅しない限りは、だろ?」
「そんなことを想定しているようではもう終わりだな。
御子は庇護を求めるのではなく求められる立場だということを理解しろ」
「何か、ようするに放り出されたんとちゃうか」
「そういうことだね」
「修行をしろって言われても、食事とか寝る所の心配もしなくちゃだし」
全員が顔を見合わせる。
「生き残れ、か」
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短いですが、これが一番きりがいいのです。これからしばらく、ずっとサバイバル。彼女の書く師匠が大好きです(私の感想はいいから)