集い出す者たち






 大輔たち四人は黙々と、というには無理を放ちながら、それでも大輔が見たときに取っていた情報をもとに、光の方へ進んでいた。
「でもさ」
 翔太郎は本当に申し訳なさそうに、それでも言いかけた。
「けどよ。向こうも動いてたら意味ねえよな。」
 彰はスパッと言ってのけた。
 始めこそやる気があったがだんだんテンションが下がってきたらしい。
 先頭を進むのは方向がわかる大輔で、次に「決着!」と吠える良平。
 翔太郎と彰は、並んで歩いていたが、身長差のため、翔太郎は小走りになっている。
 大輔は彰の方を振り向くと、
「それも他に方法がない。今持っているデータから動いたあと更に推測するのが望ましいだろう。そもそも、見渡す限りの野原らしいのだから出会える可能性は五〇%は超えていると思われる。」
滔々と語る。
 彰は辟易したように顔を逸らして「ああ、そうかよ」と返す。
 大輔は少し不満そうだったが前を向いて歩き出した。辺りを見つつ、ぶつぶつと『考察』をしている。
「あ、あの!」
 下から聞こえてきた声に彰は億劫そうに向いた。
「んだよ。」
「小早川さんって武蔵森学園でMFの小早川さんですね?」
 期待に輝いている声を聞いて彰は顔を向けてやった。
 予想通り。
 声と同じ目で見ている。
「ああ…何?お前サッカーやんのか?」
「はい!僕、サッカー好きで、背低いけどFWなんです。」
「FW」
 彰は口の中で呟いてマジマジと見た。
「あ、あの…?」
 何か言いたそうな様子をほっといて更にマジマジと見る。
「たしかにちぃせぇよな。」
 特にこれといってあるわけではないが、FWは大きい方が有利だろう。相手と張り合おうと思ったら、やはり背が低いと不利だ。ジャンプ力でまかないきれるものでもない。しゅんと落ち込んだ姿に珍しく罪悪感のようなものを感じてしまい、らしくもなく彰は慰めた。
「まあ、まだ伸びるだろ?高一なんだし。」
「でも僕、一五二,八しかないんです。」
「ちっ…」
「気にするほどでもあるまい。」
 つい、彰が本音を言う前に、大輔が割り込んできた。常だったら邪魔した人間にはとことん嫌みを言おうと思うが、今回だけは感謝しておこうかと思った。
「そ、そうなんですか?塚本さん。」
「うむ。第二次成長期が来るのは基本的に男子は女子よりも遅く、中学の終わりか高校の始めあたりから高校の終わりくらいが妥当だ。なかには、大学に入ってからも伸びる奴は多く、成長期の終わりは決まっていない。カルシウムをしっかりと摂ってよく運動すれば伸びるだろう。ただし運動のしすぎはかえって体を痛めることになるから注意すべきだ。最近の実験の結果、食事中か前に牛乳を飲むとカルシウムが摂り易いとのことだ。」
「で?何でお前がここにいンだよ。前歩いてたはずだろ。」
 助かったと思ったものの、ここまでずっと言われると腹立たしい。いらないぐらいに説明的なのはかえってムカツク。
「それはだな。」
「短くまとめろよ。」
 睨むような彰に大輔も自然、ケンカ腰に近くなる。
「元から短い。お前たちが遅くなったから呼びに来た。」
「呼びに来た奴が、くっだんねぇことでくっちゃべってどうすんだよ。」
「一緒に行動をする者とのいらない意志の不仲を招くのはどうかと思うぞ。」
「んだぁ。てめぇ。やる気かよ。」
「そちらがそのつもりならば、のろう。」
「ね、ねえ。」
 どんどん険悪になっていく二人を止めようと翔太郎が口をはさむ。
「少し黙っていてくれ。」「うるせぇ!」
 言葉が重なる。
 助けを求めようと、翔太郎が良平が歩いているはずの前を見た。
「あ、あの!」
 熾烈な言い争いをする二人に言うが聞こえていないらしい。前方と二人をちらちらと比べるように見て、翔太郎は大音声を出した。
「聞けよ!」
 年上に対して、常に丁寧だった翔太郎の怒声に、さすがに声を止める。
「良平くんがいないんだけど…!」
 進行方向を見た二人は、大輔は「勝手なことを」と、彰は舌打ちの後「バカが」と吐き捨て走り出す。
 軽い上り坂を三分程度走って、見えた姿を捕らえて、彰が隣を走る大輔に話しかける。
「おい。」
「なんだ。」
「少しぐらい、別にかまわねぇよな。」
「団体行動を乱す奴にはそれなりのことも必要だろうな。」
 ふんと彰が笑う。
 どこかの誰かのような言い方で、彰はスピードを上げる前に言った。
「あんまり、その言い方するなよ。」
「おい。」
「俺の恋人ダチの専売特許だ。」
 一歩分後ろを走っていた翔太郎は少し驚いて足を遅くした。
「あ、えと、塚本さん?」
 大輔が走るのを止めて、歩きだしたのだ。
「小早川が追いつくだろうから、そう急ぐこともないだろう。」
 大輔は少し笑う。
 納得して、翔太郎の表情が少しゆるむ。
「大輔!翔太郎!」
 彰の大声に呼ばれて大輔と翔太郎は顔を見合わせて走った。


 克己の力強い腕が真美子を引っ張った。
「え、え?」
「っと。おしかったな。」
 真美子がいたあたりに卯月の拳がめりこむ。
 小さく鋭く、息を吐く音と、風を切る音が重なる。
「キャッ」
 慌てて跳ねた卯月の残像を英明の足がなぐ。
「ちっ」
「おしかったな」
 英明の舌打ちに返す言葉に星史はわざわざ卯月がはずしたのと同じ台詞をよこす。
 視線は卯月に固定したままだ。
「あぶないじゃない!女の子になにするのよ!」
「そういうのは始めに殴りかかった者の言うことではないと思うが。」
 真美子を背にかばい卯月と真正面で対峙する位置に立つ。
 左右に真人と英明、後ろに星史。
 特に何か打ち合わせていたわけでもなく、自然とその位置をとる。
覚醒めざめてないのに…。さっきのと違ってやりづらいなぁ。」
 卯月のぼやき。
「なるほど。少なくとも俺たちのようなのがもう一組はいるわけだ。」
「やっぱ情報源ニュースソースって必要だよな。」
 卯月の頭上を飛び越えて交わされる会話。
「そんなこと…。掴まえてから言ってね。」
 スッと沈んだ体が一気に跳躍し、克己の前、真美子を狙って飛びかかる。クロスした腕で一撃目を防ぐ。
「きみのねらいは真美子ちゃん一人のわけだ。」
 はじき飛ばして腕を解き、卯月は元の位置に降り立つ。
「どうしてそんなこと思うわけ?」
「簡単なことだと思うが。」
「全くだよね。あんたが気づいてないのか、まあ気づいてないから『どうして』なんてわかりきったことを言ってるんだろうけど、あんたが攻撃しかける相手が真美子だけじゃどんなに頭が悪い奴だってそう思うに決まってるだろ?自分の短絡的思考のことをもう少し意識した方がいいんじゃないの?大体さ、偉そうなこと言ってるわりにはあんたの攻撃ってよみ易いし、よけ易いし、受け易いし。本当にやる気ある?
 それとも俺達のことナメてるわけ?それこそ冗談じゃないよね。一体何を基準に俺達の実力を判断してるわけさ。まさかあんな偉そうなこと言っておきながら、勘じゃないよね。」
 鼻で笑い、星史はここまで一気に言う。
 小馬鹿にしきった態度は、普通は怒りを誘うが卯月は僅かに星史から距離をとろうとする。
 どうやら痛いトコをつかれたらしい。
 だがそうするとどうしても他の人間の近くになってしまう。卯月はそれでもじりじりと本当に少しずつ真人の方に移動していた。本人ですら気づかずに。
 星史は唇の端を上げる。それは嫌な感じに。
「ほんとあんたってわかり易いよ。それでよく俺達のことを馬鹿にしたように言ったよな。」
 まさに一瞬の早技。
 卯月は星史によって地に伏せられていた。
「くっ…!」
「ああ、無理はしない方がいいよ。て言っても俺達にむかってきた時点でもう十分無理だとは思うけど。親切心で一応言っとくけど、下手に動かない方がいいんじゃない?どうなっても知らないし、まったく。なんで俺があんたみたいに身勝手で身の程知らずな奴の為にこんなに親切にしてるんだか、わっけわかんないよね。…で。何を尋こうか。北沢?」
「あ、ああ。」
 星史のマシンガンの如くに吐き出されていく言葉に先程から驚かされていた克己は、少しばかり反応ができなかった。
「やはり黒幕から尋くべきだろうが、そう簡単に言うかな。」
「なに言ってんだか。そんなこと言わせればいいんだよ。」
「いたい。いたい!いたい!!いたい!!!」
 力を加えたらしく卯月が叫び出す。
「うるさい!少し黙ってろよ。」
 星史は嫌そうに眉をひそめた。
 ドドッ!というまるで猪が猛進しているような音をたてて走ってきたのが叫んだ。
「テメェ!それは俺が勝負つけんだよ!邪魔すんな、チビ!」
 チビ。それは間違いなく言ってはいけない言葉だった。あまつさえ良平のほうが高いわけではない。星史の蟀谷こめかみが僅かに動き、卯月は声にならない激痛に絶えた。
 涙が滲み霞んだ。
「ねえ、英明。」
「何?」
 星史はゆっくりと声をかけた。その声は不自然な程静かで克己は思わず天を仰いだ。英明は別段変わった様子もなく言葉を受けた。
「ちょっと変わってくれる?さっきも言ったけど俺、身の程知らずって嫌いなんだ。」
 星史は皮肉げに笑んでいる。
「別にいいけど、やりすぎるのはマズイと思う。ソレも一応仲間みたいだし。」
 英明は顎をしゃくって良平を指したあと、星史が掴んでいたのと同じように卯月を抑えた。
「お前のその足りない脳ミソの話聞いてやるから言えば?」
 冷ややかな星史の目が良平を射抜く。
「だから!その女とは俺がってたんだよ!なのにテメェが捕まえちまったんだろ!俺がんだから邪魔すんな!!」
「じゃあ、あんたか。こいつが言ってたやり易かった相手ってのは。どうでもいいけど、自分の無能・無力を他人の所為にしないでくれる?そんなに勝負つけたいんだったら初めに会ったときにしっかりと終わらせておけばよかっただろう。だいたいあんたが決着ケリをつけておかないから俺達がやるハメになったんだ。捕まえたっていう事実から感謝されてもそうやってケンカを売られる覚えなんてないんだよ。あんた、こいつより脳ミソ軽いんじゃないの?どうせ日頃からケンカばっかりやって真面目に勉強しなかったんだろ。勉強が全てだなんていうのは頭が腐った奴等の台詞だけど、せめて一般教養と礼儀ぐらいわきまえろよ。」
 辛辣な言葉だった。しかも嘘がない。英明は、涼しい顔で聞き流し、克己は慣れたのか泰然としていた。真人は落ち着かなそうだったが押し隠し、真美子は克巳の後ろで心配そうに様子を見ていた。
「は。速いよ…良平くん。」
 ぐっと黙っていた良平に、場の空気に気づかなかったのか、気にしてないのか声がかかった。
「しょ、翔太郎!お前なんか言え!こいつがさっきの女捕まえやがった。」
 えっ!?と驚いた表情をした翔太郎はその後良平の期待を裏切った。要するに。
「ほ、本当ですか!?あ、あの、じゃあ…え、と」
「椎橋。椎橋星史。」
「椎橋さん、すいません。ありがとうございます。その人始めに僕たちの方に来たんですけど、途中で消えてしまって…なんとか追いかけたんですけど…。あ、ああ!そうだ。ケガとかしてませんか?僕たちには矢も放ってきたんですけど。」
 翔太郎のズレた台詞と感謝の言葉に、星史は彼には毒を解いたらしく、
「別に。あんた名前は?」
「あ、すいません。僕、野中翔太郎です。高一です。初めまして。」
「よしよし。翔太郎はさっきの馬鹿と違って礼儀正しいな。」
「いえ、そんな…」
「お、おい…!!」
 星史に下げていた頭を上げ、翔太郎はくるりと振り向くと、
「駄目だよ、良平くん。椎橋さん達が捕まえてくれたのに文句なんか言っちゃ。それに僕たちはあの人が言ってた僕たちと同じ人に会う為にこっちを目指してたんだし、目的は達成できたのにどうしてケンカを売ろうとするの?」
これもまた正論だ。
「そのとおりだな。」
 そこに大輔の一言が重なった。
「あれ程、勝手に動くなっつっただろうが。お前はニワトリか!?」
 彰は口より先に手を出し、
「よお。」
殴った手をそのままあげた。
「お前も来てたのか。彰。」
 まるでよく出入りする近場で会ったかのような言い方をしているが、その言葉自体に力はなく克己は疲れたようだった。
「ねぇ、どうしたの?克巳にぃの知り合い?」
「あ、ああ。同じ大学で、同じ部の小早川彰というんだ。」
 ひょっこりと克巳の後ろから顔を出した真美子を見て彰は諦めたように溜息を吐いた。
「またガキかよ。」
「彰!」
 たしなめる克己に彰は軽く返事する。
「森川?」
「え、な、何!?」
 なにやら少し身構える真人に、
「悪いけど変わってもらえる?」
英明は視線を下げて卯月を見た。どうもこの存在は先程から忘れられている気がする。
「あ、うん。」
 真人は同じように抑えて息を吐いた。逃がしたらダメだと思うから緊張する。
「こんなに個性的な性格の主が集まるとは実に興味深い。」
 考察までしっかりとろう…。大輔は呟き、各々の様子を見た。
「さて、すっきりしたところで、また自己紹介する?」
 星史の提案に、
「では、こちら側のが、野中翔太郎、高一。藤沢良平、高一。小早川彰、大学三年。俺は塚本大輔、高三だ。」
「ああ、森川真人、高三。羽山英明、大学一年。椎橋星史、大学三年。俺は北沢克巳、大学三年。この娘は俺の従妹で、村山真美子ちゃん。」
大輔と克己が代表して答える。
「あとつけたすことと言えば、俺と彰は同じ学校だ。」
 星史が一歩踏み出す。
「さて、お互いの名前がわかったところで、この卯月ってのに尋いてみようか。
 まず一つ。俺達のようなのは他にもいるのか?」
「…」
 黙る卯月を一瞥して星史は真人に言う。
「腕、もう少し締め上げて。」
 真人は困った。やり方がわからない。
「森川?」
「椎橋。わかんないんだと思うけど。」
 英明の助け舟に真人は頷いた。
「基本だと思うけど…」  星史は替わろうと近づいた。
 これはきっとほんの少しの油断だったのだろう。真人は星史が腕を掴むより早く力を緩めてしまい、卯月は跳ねるように飛び起きた。
「覚えてなさいよ!」
 お約束過ぎる捨て台詞を残して卯月は消えた。
 包囲していたのを突き破るのではなく、そのとおり消えたのだ。
「翔太郎」
「は、はい。なんでしょう椎橋さん。」
「星史でいいよ。で、翔太郎たちの前から消えたのもこんな方法?」
「そうです。」
 へえ。
 星史は目を眇めるようにして卯月が消えた位置を見ていた。
「おもしろそうじゃないか…」
 不敵な声。
 最後に卯月を抑えていた真人は少し目が泳いでいる。英明が慰めるように肩を叩いた。
 完璧に傍観を決め込んでいた大輔は、
「やはり、あの卯月というのが消えたときにこれとって何かを唱えている気配はなかった。と言うことはこれが妖術の一端なのか?それとも何かそれ用のモノがあるんだろうか。まだまだ考えうる可能性が…」
考察に熱を入れていた。
 もう一方の傍観者たちは。
「ところでよ。克己。」「なんだ?」
 意地悪く彰は笑い、
「鎖骨なんてまた随分と色っぽいトコにあるな。」
と喉元、鎖骨のところの勾玉に触れる。
「お前たちの方にも同じところに出ている塚本くんがいただろう。」
 克己は一歩退き、怪訝そうに眉を顰めた。彰はくくくと笑い、
「お前は日頃そういうのしないからな。それにストイックなイメージがあるから余計にそう見えんだよ。」
と言う。
「でも本当に克己にぃ、色っぽいよ。」
 真美子まで同意してしまい克己は眉間に中指を押し当てて何かに耐えた。
「そろそろ今までの状況をまとめないか。」
 この話題から逃れたい一心で克己は各々で話すメンバーに提示した。
「この分だとバカ代までいそうじゃねぇか。うぜぇ。」
 彰の吐き捨てる言葉を、克己は自分の為に聞かなかったことにした。本当にいるかもしれないが、今は自分の為にもそんな面倒な可能性は忘れていたい。
「俺達四人は突然この場所に出現した。そこで話していたら、卯月が襲いかかってきた。良平が相手してたんだが、光の柱を見つけた途端消えたんだ。」
 大輔は待ってましたとばかりにしゃべり始める。『光の柱』という言葉に、真美子はおびえた瞳で克己を見上げた。
「なるほど。光の柱を目指してここに来たのか…。」
「それでお聞きしますが光の柱は…?」
 控えめに聞く翔太郎。克己、星史、真人、英明の視線が真美子の集まる。
「…それ、私です。」
「君…が?」
 大輔はマジマジと真美子を見つめる。
「勾玉を持っていなくて紅一点か。卯月はこの子のことを言っていたのか。」
 一人考察モードに入る。
「今の様子からすると、彼女は特別な存在なんじゃないか?」
「確かに羽山の言う通りだな。」
 克己の言葉に真美子は更におびえる。無理もない。理由わけがわからない世界に飛ばされ命を狙われた上、男の中にただ一人。
「…なあ、まさかお前たちもここに来る前は埼玉スタジアムにいたとか言わないよな?」
「僕はいましたよ。」
「オレも。」
「俺も。」
「…みんな同じ所にいた…。しかもみんな勾玉を持っている。俺達は何かに呼ばれたと考えてよさそうだな。」
「んなことはどうでもいいんだよ!!オレはあいつを捜す!」
「お前、いい加減にしろよっ。」
 彰の拳をモロにくらった良平はノビてしまった。
「りょ、良平くん!?」
「コイツがいない方が話が進むからな。」
「否定はしないが、彰。遣り過ぎだ。」
「俺も小早川に賛成。コイツは嫌いだ。」
「で、でも仲間なんだから、そんなこと言わないで。」
 真美子は良平に駆け寄る。真美子の言葉など気にもせず、星史、克己、大輔は話を続ける。
「さて、これからどうするか。」
「卯月の様子からすると俺達の他にも勾玉を持っている人間がいると仮定した方がいいと思う。その人間たちを探すべきだと思うが。」
「探す?どうやって?このどこかもわからない世界のどこにいる?ただの予測で動いていても意味がない。俺は同じ連中を捜すより、元に戻る方法を探すべきだと思うよ。」
 星史が大輔につっかかる。歳が下なのに、自分と対等に話しているのが気にくわないらしい。だが星史のマシンガントークに負けじと反論する大輔。
「手がかりはある。この勾玉の光る方向に歩いたら、お前たちに出会えた。つまり、勾玉の示す方向に仲間がいる。それに、俺たちがここにいるのは何か事情があるはずだ。その理由を探してから戻る方法を考えても遅くはないと思う。」
 互いに睨み合ったまま動かない。克己がどうするべきか思案していると英明が助け船を出してくれた。
「ハッキリとわかってることは彼女を守らなきゃならないことだな。」
「そうだな。彼女狙われてるみたいだし。」
 四人の視線が一斉に真美子に集まる。
「え…。守るって…みんなが?」
「俺たち意外誰がいる?それとも、あんたは俺たちじゃあ不安か?まあ、あんたが自己防衛できるのならそれで構わないけど。」
「…っ。」
 真美子は星史に返す言葉がない。
(この人、苦手…)
「星史さん、かわいそうだよ。この子は悪気があった訳じゃないんだから。」
 翔太郎のフォローに内心ホッとする真美子。星史は「ゴメン」と一言謝った。
「なあ克己。俺、腹減った。」
 克己は緊張感のない彰に呆れ、ふかぁい溜息をついた。
「…わかった。食料調達と行こうか。向こうの方に見える林に狩りに行くグループと食べられる木の実と薪を探すグループに分かれよう。」
「それなら私、木の実について詳しいから…。」
「じゃあ俺と真人と彼女で木の実と薪を探す。」
「わかった。野中はここに残って藤沢を見ててくれ。残りで狩りに行く。」
「克巳にぃ。」
 真美子は克巳を訴えかける瞳で見上げる。うっすらと涙を浮かべて。
「大丈夫。椎橋は強いから頼りになる。よろしく頼むな、椎橋。」
「ああ。」
 そして七人は林に向かって歩き始めた。
 残された翔太郎は良平を見つめ、
「…当分目覚めないよね…?」
と呟いた。翔太郎は一人で突っ走る良平を止める自身がなかった。
(自分も星史さんみたいに強くならなきゃ!)
 妙な決意をする翔太郎であった。


 林に近づくにつれ、真美子は胸の奥がだんだんと熱くなってくるのに気付いた。だがそれは先程の感じとは違うモノ。
(何だろ?)
「どうかした?」
 真人が俯いている真美子の顔を覗き込む。
「ううん。なんでもないよ。」
 熱さが妙に心地よい。何かいいことがありそうな予感。何故かそんな風に感じる。
(早くここがどこだかわかるといいな。)
 そんな願いを胸に抱きながら、真美子は林の中へと進んだ。





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 もう半分の方も合流です。敵の卯月ですが、これは弱いです。ついでにたいして重要じゃない。作った彼女には悪いけど、登場人物の方にも載ってませんしね。