「何、今の」
真美子はその場に座り込んでしまっていた。
突然自分を包んだ光はいつの間にか消えていた。それでもその短い間に自分を支配していた感覚は、真美子に尋常でない何かが起こる予感を残していった。
「大丈夫か。真美子ちゃん。」
「克巳にぃ…。」
真美子は克巳の服の裾を持って立ち上がろうとするが、足に力が入らないらしくうまくいかない。
「何なんだよ、今の光の柱は。」
星史が噛みつく。
「わかんない。でも。何かイヤな感じがする。」
それはひどくさむけに似ていたが、同時に体中が熱い。
「『怒り』…かな。」
けど何に対して?
「あのさ…」
声をかけたのは英明だった。
「あの光の柱があった間、勾玉も余計に光ってたみたいなんだけど。っても俺が見えたのは森川のおでこと俺の右手のだけ、そっちのお兄さんたちは背中向けてたからわかんないけど。」
「ああ、俺も見たわけじゃないがそんな気がしたな。」
同意しながら克巳は真美子の腕を掴んで引き上げ、立たせた。
「じゃあそいつも結局俺たちと同じってことか。」
光の柱の一件が起こる前までに五人は、勾玉がないらしい真美子は性別だけでなく他の四人と違うらしい―むしろ間違いでこの場にいるのでないか―という結論を一致させていた。
「あ〜やっぱよくわかんねぇなぁ。俺たちにどうしろって言うんだよ。」
星史がお手上げのポーズをつくる。それに同調するように全員が肩を落としたその時、
「あれっ!」
「なんだよ森川。」
「人だっ!こっちに近づいてくるみたいだ。」
「あぁ〜なんで消えちまうんだよっっ。」
「まいったな。」
光の柱を目指していた良平たちは、目標が消えて困惑していた。
「ったく、お前らが考えナシに走ったせいでムダな体力使ったじゃねえか。」
彰はそう言ったが四人ともそれ程息は上がっていない。
「ああ、まったくだ。」
“考えナシ”という言葉が痛かったのか大輔がしょげる。
「でも、ここまで進んできたからには、別に使った体力はムダじゃないと思うせっかく進み始めたんだから行こうよ。」
前向きに翔太郎が言う。
「行くってどこにだよ。」
「そうだよね。今まで進んできた方向って勾玉が光る方角とちょっと違うし…」
「光の柱が消えたとなると、方向性を示すものはこの勾玉しかないな。」
大輔は自分の鎖骨を指す。
「この場所だと自分で見られない…」
「僕も。変な感じがして光ってるのはなんとなくわかるけど。」
「オイ。一人止まらねえヤツがいるぞ。」
真っ直ぐ光の柱があった方向へ歩く良平を彰が止めに走った。良平は抵抗してものすごいスピードで逃げたが、最後には捕まっていた。
「俺はあいつと決着つけてーんだよ。そっちがどこ行くのか知らねぇけど、俺はあいつを追うぜ。」
「落ち着けよ。あのコだって光の柱に向かってたんだ。あの柱が消えたなら、多分行っても逢えないんじゃないか?」
「向かってったのは事実だろ?行かねえと決着が…」
「お前馬っ鹿じゃねえの?」彰が顔をしかめた。「お前自分が殺されかかったことがわかってねえのか?ああやって戦って、力の差がわからなかったのかよ。お前が単純馬鹿にケンカ買ったせいで、野中まで危険な目に会ったんだろーが。」
「野中は勝手に飛び込んできたんだぜ。だから、一人で行くっていってんじゃん。」
良平は彰の手を必死にふりほどこうとするが、彰はその腕を容赦なく締めつける。
「痛っ…!」
「この勾玉。俺のは右手、お前のは左手。それに鎖骨と額。全員違う場所についてんだろ。俺たちは、おそらく、これで一つのチームなんだ。このわけわかんねえ世界に飛ばされてきた、運命共同体なんだよ!勾玉が証拠だ。四人でひとくくり。勝手な行動はさせねえよ。」
早い話が「仲間が死ぬとわかかってて見殺しにはできない」ということだ。はっきりそう言うのが照れくさいのだろうが、かえってクサイことを行っているのに彰は気付いていない。
「あっ。」
大輔が思い出した、というように大声を出した。
「そういえばさっきのコ、俺たちみたいのが他にもいるって言ってたよな。女の子を探しているとかなんとか。」
「そうだっ。じゃあ良平くんの言う通り、光の柱があった方に行けば、仲間がもっといるかもしれませんね。」
翔太郎が底抜けに明るい声で応じる。
「オイ、お前らまで…」
「小早川さん、もしかしたらその女の子っていうのも僕たちみたいな四人組で、助けを求めているかもしれないですよ。」
すると彰はコロッと態度を変えた。
「女の子を助けないわけにはいかねえな。行くか?」
同意を求める口調だが彰はすでに歩き始めていた。
(単純…)
大輔は心の中で舌を出し、良平や翔太郎と目配せをして歩き出した。
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今のうちに言っておこう。
この初期のときと一番性格が変わるのは彰です。彰を書く書き手が変わったもので。
ごめんなさい。だってここはそゆサイトですし。